プログラムとクイズ回答

プログラム

1. ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827ドイツ)作曲 
エリーゼのために

ベートーヴェンが1808年に作ったピアノ曲。「エリーゼ」とは、当時ベートーベンが愛していた女性の名前だと言われています。
ベートーベンは字がきたなかったため、タイトルは「エリーゼ」と書いてあるように見えるけれど本当は「テレーゼ」と書かれているという説もあり、実際にこの曲の手書きの楽譜は、テレーゼ・フォン・ドロスティックという女性の手紙箱の中から発見されました。
いずれにせよ、ベートーベンとこの女性の恋愛は実る事はありませんでした。

2. アメイジング・グレイス(驚くべき恩寵)

作曲者は不明ですが、イギリス人の牧師ジョン・ニュートン(1725~1807)の作詞によりたいへん有名になった賛美歌です。
ジョン・ニュートンは、若い頃船乗りで、黒人奴隷を輸送する仕事に関わるようになりました。後に牧師になったニュートンが作ったこの歌詞には、奴隷貿易に関わった事への深い後悔と、それにもかかわらず許しを与えてくれた神への感謝が歌われています。

3. 滝廉太郎(1879-1903日本)作曲 「花」

春の景色とともに描かれている「船」は、ゆったりと進む和舟ではなく、当時隅田川で盛んであった漕艇(ボートレース、レガッタ)の様子です。軽快な曲想もそれにふさわしく、春の隅田川の情景が歌われています。「荒城の月」「箱根八里」と並び、瀧廉太郎の歌曲の中でも広く親しまれている曲のひとつ。

4. カミーユ・サンサーンス(1835 - 1921フランス)作曲
「動物の謝肉祭」より フィナーレ

原曲はフルート、ピッコロ、クラリネット、グラスハーモニカ、シロフォン、ピアノ、バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスによる室内楽。 ウィットに富み、他の作曲家のパロディーなどの内容を含むこの曲(全14曲)に登場する「動物たち」は、ライオン、雄鶏と雌鳥、ロバ、亀、ゾウ、カンガルー、水族館(魚)、耳の長い登場人物、カッコウ、鳥かご(鳥)、ピアニスト、化石、白鳥など。フィナーレでは軽快な音楽に乗って、この中のいくつかの「動物」のテーマが再登場し、見え隠れします。

5. クロード・ドビュッシー(1862 - 1918 フランス)作曲 アラベスク

1888年に作曲された原曲はピアノ曲。1番、2番の2曲があり、当コンサートで演奏したのは「1番」です。アラベスクとはアラビア風という意味ですが、「アラビア風の唐草模様」や「アラビア風の、装飾が多くて華やかな曲」をまた「アラベスク」と呼びます。繊細でしなやかな模様が絡み合いながら展開する様子を、音であらわしています。

5. アストル・ピアソラ(1921 - 1992アルゼンチン)作曲 リベルタンゴ

アストル・ピアソラは、作曲家であるとともに、タンゴのバンドネオン奏者。タンゴをベースにクラシック、ジャズの要素を融合させた独自の音楽を産み出しました。リベルタンゴは1974年発表の作品。Libertangoという単語は、「自由」 libertad と「タンゴ」tango と合わせて作られた造語です。当時のアルゼンチンの政治や雰囲気に嫌気がさして、イタリアで演奏活動していたときに作られた作品で、祖国に対する強い思いも込められています。そのほか従来の「踊るためのタンゴ」の縛りから解放された「自由」なタンゴという意味もあります。

7. ルロイ・アンダーソン(1908年 - 1975年アメリカ)作曲 
シンコペーテッド・クロック

シンコペーテッド・クロックはシンコペーションする時計の意味。シンコペーションとは、リズムの強弱のパターンを変える事で、例えば「1,強 2,弱 3,強 4,弱」のリズムのパターンの2と3を繋げる事によって強い拍が2に移動し、「1強 2,強_3, 4,弱」となるのがシンコペーション。ちょっと躓くような感じの独特なリズムになります。正確に刻むはずが、ときどきシンコペーションしてしまうこっけいな時計の音を、ウッドブロックという打楽器が楽しく表現します。

8. ジャコモ・プッチーニ(1858 - 1924 イタリア)作曲 
オペラ「ジャンニ・スキッキ」より「私のお父さん」

大富豪の遺産相続を巡るお話の喜劇のオペラ。この曲は、このオペラの主役であるジャンニ・スキッキの、娘ラウレッタが歌うアリア(独唱曲)です。物語は大富豪が亡くなる所から始まります。大富豪の遺産が遺言状により修道院に寄付されることがわかり、大富豪の甥でラウレッタの恋人リヌッチョは遺産をもらうことができなくなります。そして、ラウレッタとの結婚もお流れになりそうに。しかしラウレッタは、この「私のお父様」で、リヌッチョと結婚できなかったら「ベッキオ橋から身を投げる」と父に訴えます。娘の願いを叶えるため、ジャンニ・スキッキが遺言状を偽造する企てを決意します。

9. ヨハン・シュトラウス1世(1804 - 1849 オーストリア)作曲 
ラデツキー行進曲

ヨハン・シュトラウスの名前に「1世」とつくのは、同名の長男ヨハン(2世)と区別するためです。他にも、次男ヨーゼフ、三男エドゥアルトも作曲家となった音楽一族です。1世はウインナ・ワルツのスタイルを築いたため「ワルツの父」とも呼ばれています。ラデツキー行進曲は、1848年に作られ、同じ年に北イタリアの独立運動を鎮圧に向かったヨーゼフ・ラデツキー将軍を称える内容となっています。

10(アンコール). ジュゼッペ・ヴェルディ(1813年 - 1901年イタリア)作曲 
オペラ「椿姫」より 乾杯の歌

パリ社交界の花形であるヴィオレッタ(椿姫)と、南仏プロバンスの田舎からパリに出て来た純朴な青年アルフレッドの悲恋の物語。
「乾杯の歌」は、物語冒頭のヴィオレッタの館の華やかなパーティーで、二人がはじめて出会う場面で歌われます。

クイズ回答

1.エリーゼ
2.ソプラノ
3.花
4.3人、6本、30本
5.木管楽器
6.バイオリン、ビオラ、チェロ
7.ウッドブロック
8.オペラ
9.手拍子、または2拍子 (この手拍子は作曲者自身が設定した物ではなく、観客から自然発生的に起こって、習慣になったものです。従って具体的に何かを表しているという事は無いというのが本来の正解です。しかし、ではこの手拍子が何なのか?と考えてみると、最初に観客からこの手拍子が起こった時には足拍子(行進そのもの)も同時に起きていたというエピソードから、足を踏み鳴らして行進の気持ち→やがて手拍子に統一?説をとってみました。観客が自主的にセッションし、それが定着して有名になった曲です。)

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